前回の記事では、完成したサイトの裏側で重ねてきた試行錯誤や意思決定など、デザイン制作に至るまでの過程を綴ってきました。
続きにあたる今回の記事では、制作に携わったメンバーのインタビューを交えながら、完成に至るまでのデザインや実装におけるポイントをご紹介していきます。
ぜひお楽しみいただけたら嬉しいです!
インタビューメンバー
インタビューするのはこちらの2人!
3年前のECモール制作から教文館さまと共に歩んできたデザイナーのurarinさんと実装をメインで担当したtakuさんです。

初めての訪問を振り返って
ーECモール制作当時、銀座の店舗に足を運んだとお聞きしましたが、何か感じたことはありますか?

実際に現地を訪問した際、各フロア(売場)のスタッフの皆さまにインタビューを行いました。140年という歴史の重みだけでなく、一人ひとりの丁寧な接客や、「銀座で働く」という責任感を肌で感じることができ、この経験は今回のサイト全体の設計をする上での土台となっています。

デザインコンセプト
ーでは、今回のサイト制作におけるデザインのポイントを教えてください。

見やすいこと、利用しやすいことを前提としつつ、多く残されている資料を活かして、教文館さまの志や建築の価値が伝わるよう意識して作成してます。教文館で働く皆さまの上品さや140年もの歴史があるといった安心感・信頼感を、落ち着いた色調や余白感、フォント等のデザインの要素に落とし込みました。
ー「140年もの歴史があるといった安心感・信頼感」は具体的にどのようなデザインで表現しているのでしょうか?

サイトの最下部に配置するフッターを、サイト全体を支える要素に見立て、関東大震災等を乗り越えて再建された当時のお写真を配置しています。これは、教文館さまの歴史そのものがこの地を支えてきたことを表しています。


トップページのメインビジュアルには、現在の教文館さまの姿を据えました。サイトを開いた瞬間に目に入るこの写真は、今日の銀座における存在を象徴するものです。支えられてきた歴史があるからこそ、今の姿があるというストーリーをデザイン全体で表現し、安心感や信頼感を感じていただけるよう意図しています。

ーフッターとトップのメインビジュアルに、一貫したコンセプトが反映されているのですね!
他にも教文館さまらしさを伝えるために意識したことはありますか?

建物に施された特徴的な装飾や大理石等もサイトの装飾・テクスチャとして使用することで、実際の空間との統一感も出し、”教文館らしさ”をより表現しました。
ページで紐解くデザイン
TOPページ
ー「会社の顔」として第一印象を決め、ブランドの価値を伝える重要なトップページ。
デザインを考える上で特に大切にされたことは何だったのでしょうか?

140年の歴史を持つ教文館さまにとっては、その重みや文化的価値を直感的に伝えることが特に重要だと考えました。そのため「売り場のご案内」より先に、会社の紹介文とパララックス演出を配置しています。
「読む、考える、語らう、過ごす。」というコピーと、写真が切り替わる演出によって、銀座に深く根を張る教文館さまの世界観を視覚的に体感してもらう狙いです。
教文館についてのページ
ー教文館さまの歴史や沿革に加え、キリスト教の豆知識まで多くの情報が詰まったページ。これだけの情報を、どのような考えで整理・構成していったのでしょうか。

このページを制作するにあたり、教文館さまが大切にしている考え方や、ありたい姿について改めてヒアリングを行いました。あえて他のページとは異なる構成とすることで、言葉をしっかりと受け止めてもらえる設計になっています。
ー旧サイトのコンテンツについても、見直しを行われたんですよね。

旧サイトにある読み物コンテンツについてもリライトを行っていただき、画像を交えながら、より分かりやすくじっくり読んでもらえるページへとリニューアルしています。教文館さまが「言葉の力」を信じているからこそ、伝えたい想いやメッセージを丁寧に届けられるページであることを大切にしました。

各フロアページ
ー教文館さまはフロアごとに異なる世界観や魅力がありますが、それぞれの個性や雰囲気を伝えるために、フロアぺージではどのような工夫を取り入れたのでしょうか?

お店独自のコンセプトが強い3つのフロアについては、それぞれの特徴を押さえつつ、「どのフロアも教文館であること」を念頭に置いて統一感を保てるように調整しています。
エインカレムは、店名の由来となったエルサレム郊外にある美しい里山のように、静けさや豊かさを与え「銀座の中で安らぎの空間」を目指したお店です。その想いを表現するため、ミントグリーンや柔らかな曲線、波紋など、自然を感じさせる装飾を取り入れ、心安らぐデザインに仕上げています。


CAFEきょうぶんかんは、カフェのメニューにも使われているイラストレーターさんのイラストを装飾として使用し、「銀座のオアシス」というコンセプトのもと温もりや優しさを感じさせるデザインでまとめています。


ナルニア国は、子どもの本の売場のため全体的に柔らかさを意識しています。店名の由来にもなっている「ナルニア国物語」はロングセラーの大人気作品であり、歴史を大事にしたいという想いがあると伺っています。歴史やロングセラーの重みを大切に、クラシカルでありつつ親しみやすく温かみのあるデザインを意識して制作しました。

使いやすさを支える設計
ここからは機能面でのこだわりについて、メインで実装を担当したtakuさんにインタビューしていきます!
ー今回の実装で工夫した点をおしえてください

機能面では、「テキストや画像をある程度自分たちで編集したい」というご要望にお応えするため、a-blog cmsのカスタムフィールドという機能を活用しました。これにより、HTMLを編集することなく、直感的な操作でテキストや画像を更新できるようになっています。
ー反対に、サイトを利用するユーザー目線で工夫した実装はありますか?

書籍一覧ページや催事情報一覧ページでは、フィルタとページネーションを操作した際、瞬時にページが切り替わるような実装をしました。ヘッダーやフッターはそのままに、ページの一部のみを切り替えることで、快適に情報を探せるよう工夫しました。
イベントカレンダー
ーvol.1でもすこし触れたイベントカレンダーについてですが、どのような課題があったのでしょうか?

イベントカレンダーのページでは、イベントの催事期間をカレンダー上でどのように表現するかが課題でした。開始日から終了までを帯状につないで表示したかったのですが、a-blog cmsの標準機能だけでは対応できなかったため、別の実装方法を検討する必要がありました。
ーなるほど…確かに、連日開催のイベントはつなげて表示したいですね。
ではその課題をどのように解決したのでしょうか?

FullCalendarという外部ライブラリを採用しました。a-blog cmsで登録したイベント情報を表示するため、API(異なるアプリケーションやWebサービス繋ぐ役割)を利用してデータをFullCalendarへ連動し、要件を満たすイベントカレンダーを実装しました。

まとめ
教文館さまコーポレート制作の裏側をご紹介してきました。
ご相談をいただいてから約3年、制作開始から約1年かけて完成した今回のプロジェクト。教文館さまにとっても、大きな節目となるサイトリニューアルだったと思います。
私たちは、会社の歴史やそこで働く皆さまの想いを丁寧に汲み取り、Webサイトという形で表現することを大切にしています。本制作でも、教文館さまらしさや積み重ねてきた価値が伝わるよう、一つひとつのデザインや言葉に想いを込めました。
サイト運営者・ユーザー双方にとって、より使いやすく生まれ変わった教文館さまのコーポレートサイト。お気に入りの一冊や新たな本との出会いを楽しんでいただけたら嬉しいです。