こんにちは、アートブックの類が好きでビル群のごとく平積みゾーンを増やしているchinamiです。
単に眺めて楽しむのもいいですが、表現方法をデザインの参考にしたりとアイデアの幅が広がるので重宝してます。
完成した華やかな作品ももちろん、普段見られない製作過程や裏側を垣間みることができるのが嬉しいですよね。構想段階のラフ、ボツ案が残っていたりするとより制作側の意図を理解できるので、作品のログはできる限り残すよう心がけたほうがよさそうです。
人の作った作品集を見たいので今回は製本についてまとめてみました。
ポートフォリオや作品集の作成、創作活動で本をつくる際の参考にいかがでしょうか。
天:本を立てた場合、上に見える切り口。冊子の体裁の方向で上を指します。
地:本を立てた場合、下に見える切り口。冊子の体裁の方向で下を指します。
ノド:本を見開きにした時の綴じ部付近のこと。単ページでは綴じ部側を指します。
小口:見開きにした時の両端、単ページでは綴じ部の反対側(外側)を指します。
背:ノドの外側に面している部分を指します。幅は背幅といいます。
・上製本・・・ハードカバーの本
主に小説や絵本、写真集、記念誌などに利用されます。本屋ではレジ前あたりに平積みされていることの多い新刊など、表紙が固く分厚い本がそうです。
仕組みとしては本文ページを糸でしっかりと綴じ、別に仕立てた厚い表紙でくるむことでひとまわり大きく、固い表紙で本文ページをしっかり保護しています。
表紙は紙・布・ビニールのクロスからその本にあったものを選択できます。
紙は素材が細かいので箔押しがはっきりでます。布は表面加工をしないので布が持つ質感がそのまま活かせます。
本体の仕立てによって、背の形が丸い「丸背」、角張った「角背」に分類され、外観を立派にしたい場合に有効です。
一般的な文芸書は1冊1冊デザイナーがカバーデザインをするため作品ごとにオリジナリティがあり、紙質にもこだわりが見えます。耐久性に優れていますが価格は少々お高めです。
・並製本・・・ソフトカバーの本
文庫本などに使われる製本方法です。
上製本と比べて簡易な作りの反面、コストを抑えられるのが大きなメリットです。納期も比較的短く済みます。
耐久性は及びませんが、軽くて扱いやすく低価格なので人気のある製本方法です。
出先で読むには負担が少なく、かさばりません。
1年の活動まとめの作品集、配布用を作成するならば、コストを考えて並製本が適していると思います。
・針金中綴じ(中綴じ)
冊子を開いた状態の紙(1枚で4ページ分)を重ね合わせて2つ折りにし、中心を針で綴じる方式の冊子で、ページ数は必ず4の倍数になります。
中綴じの特徴としてページを180°開くことができ、見開きで写真を使ったりデザインしたい場合などにオススメの綴じ方式です。
針で綴じる性質上、ページ数の多い冊子(44ページ以下推奨)や厚めの紙には適しません。
中綴じのレイアウト注意点
厚い紙を使用する場合やページ数の多い場合は紙を重ねるという構造上、小口側(綴じる部分の反対側)にずれが生じてしまいます。本の外側のページになるに従って必要な文字やデザインは仕上がり位置よりも3mm以上内側へ配置してください。
ノド部分まで完全に開ききることが可能なので、ノドアキ(ノドの余白)は不要ですが、どうしても若干ズレが生じてしまうので、文字がまたぐレイアウトは避けたほうが無難ではあります。
・無線綴じ
表紙用紙で本文ページを包み込み、糊付けする綴じ方式です。
ページ数や紙の厚みに応じた幅の背表紙が出来ますが、ページ数が少ない場合、糊付けで固定できる範囲が少なく、強度面では弱くなります。
無線綴じのレイアウト注意点
無線綴じは加工の特性上、ページの根元まで開けないので見開きのデザインをした場合、綴じ部分にある文字やデザインは見えなくなります。
確実に見せたい文字や図はノドの仕上がり位置より20mm程度内側に収まるよう十分余白をもたせてレイアウトしてください。
コプト製本:表紙と本文ページを同じ糸で綴じた製本方法です。穴を開け、各折を一つ下の綴じ糸に絡めながら編み物のように綴じていき、背にでる綴じ糸がチェーンのような形に見えるのでチェーンステッチリンキングとも呼ばれ、綴じ目が美しく仕上がります。背表紙がないため、ページの開きが良く、綺麗に180°開くことができます。
アイレット綴じ:アイレットとは小さな穴という意味があり、アイレット綴じは、中綴じで綴じる際に針金が背中の部分にC型に飛び出した形になります。
壁掛けのカレンダーによく用いられる製本方法です。
PUR綴じ:無線綴じで使用する接着剤ではなく、ポリウレタンリアクティブ(PUR)という特殊な接着剤を使用して背を固める綴じ方です。あじろ綴じのように200ページほどの厚みも綴じることができ、180°綺麗ににページを開くこともできる利便性が高い製本方法です。
クロス巻き:背の部分に布地を巻きつける製本方法です。紙を巻くマーブル巻きよりも強度があります。伝票やメモ帳などの製本によく使われますが、強度があるため開閉の多い書籍や論文などの加工にも用いられます。
・右綴じ
主に中の文章が縦書きの場合に右綴じになります。縦書きの文章や漫画など、上から下、右から左に流れるレイアウトです。
必ずしもこの向きでなければ、というのはありませんが、読み手にとっての違和感のない読みやすさを心がけましょう。
例
・左綴じ見開き8ページ (表紙4ページ+本文4ページ)
・単ページ8ページ (表紙4ページ+本文4ページ)
何も印刷しない白紙のページもページ数に含まれます。抜けがないよう注意しましょう。
左綴じ
右綴じ
天:本を立てた時に、上側になる切り口のことです。天を金色に塗ったものを天金といいます。断裁面である天・地・小口三方を着色する加工もあり、本に華やかさを持たせることができます。ただし白紙に色移りしやすいので取り扱いには注意が必要です。
小口:本を閉じて見えるページの両端部分です。ノドの対極にあります。
花布(はなぎれ):中身の背の上下に飾り布を貼り付けますが、これがこの花布・ヘドバンです。
元々補強の役割を持っていたようですが,現在は装飾と背部を隠すためのもののようです。
作品の雰囲気にあわせてデザイナーが選んでいます。知る人ぞ知る本のオシャレポイントです。
帯:作品にゆかりのある人のコメントや煽り文で興味を引く役割があります。
地:本を立てた時に、下側になる切り口のことです。
ノド:表紙と見返しの接しているところ。本の中身が背に接する部分。
ちり:上製本で、表紙を別の紙で作り本文ページを包んで仕上げる際、天、地、小口からそれぞれひとまわり大きくはみ出した表紙の内側の部分のこと。
かど:表紙のかどです。上製本の場合は傷みやすいため、革張りという加工をしたりします。
そで:表紙を包むためのジャケットの折り返し部分です。この部分に著者プロフィールなどを載せます。
見返し:表表紙の裏側で、表紙の次の印刷のない紙のことを指します。一般的には表表紙・裏表紙の内側に貼り付けて、本の中身と表紙をつなぎ合わせている見返し紙のことを呼びます。表紙と本の中身を張りつける力紙・きき紙と、表紙に貼られていない遊び紙があります。
見返しは、表紙と本文をつなぐ部分と、そのための用紙のことです。本は頻繁に開閉されるため、すぐにダメになってしまわぬよう丈夫な紙を用います。文庫本などでは省略されることがあります。
使える質、厚みには制限はありますが、見返しの紙の選び方で本の表情もがらりと変わります。
扉:見返しの次にある題名や著者名、発行所名などが書いてあるページです。2ページに亘っているものを見開き扉といいます。上質紙を用いて本文ページと区別しているものもあります。
スピン:しおり紐のこと。
ひら:本の表紙のたいらになっている部分。一般的に表紙のひらには書誌事項(タイトル、著者、出版社など)が書かれています。書店で見られる平積みは表紙のひらを上にむけて積んでいるということです。
カバー:本のジャケットのこと。